取り扱い注意!宝石店が伝えたい、キズつきやすい宝石5選

宝石って硬いからキズなんてつかないんじゃないの?

というお客様は多くいらっしゃいます。それは決して間違ってはいません。

硬く、耐久性があるからこそ世代をこえて受け継がれながら変わらない美しさを保ち続けているのです。

しかしながら昨今流通する美しい宝石のなかには取り扱いに注意が必要なものがあるのも事実。

今回は当店が取り扱う宝石たちのなかでより一層気をつけていただきたいジェムストーンをご紹介いたします。

 アウイナイト

当店で最もお取り扱いに気をつけていただくようお伝えしているのがこのアウイナイト。

硬度が5.5から6ほどで劈開も持ち合わせているため

石留めをする職人も「またきてしまった」と天を仰ぐ宝石です。

当店ではルースを仕入れる段階で外部、内部に極力キズのないものをセレクトしており、

仕立ての際に欠け、割れが生じた場合はお客様にご案内することはありません。

それほどまでにジュエリーに仕立てるのが難しい宝石です。

しかしそれを補って余りあるほどの魅力がアウイナイトにはあると考えています。

目の覚めるようなコバルトブルーは他の宝石ではなかなか味わえません。

物に当たらないよう、大切に身に着けていただけたらと思います。

 ベニトアイト

ベニトアイトも昨今取り扱いに注意していただきたい宝石のひとつです。

硬度が6から6.5ほどとアウイナイトよりは硬いのですが、石留めの職人いわく肌感覚として「爪留め」で欠けやすい宝石として挙げられています。

特にファセットとファセットの間がピキっといってしまうようです。

当店でも若干欠けてしまったことがあり、リカットを施したケースも何回かあります。

ブルーとパープル、そこから眩いファイア<虹色の分散光>があらわれ、何とも味わい深い美しさを持つベニトアイトですので、

こちらも大切に身に着けていただけたらと思います。

 オパール

オパールのなかで当店が多くご案内しているのがメキシコオパールとブラックオパールになります。

硬度は5から6.5ほどで物に当たることも気をつけていただきたいところなのですが、

オパールは構造的に水分を多く含むため、乾燥すると内部に細かなヒビ、「カン」が生じる場合があります。

業界的にはオパールに見慣れない線が増えると「カンが入った」という表現をします

そのため湿度の変化に気をつけることが重要になってきます。

具体的にはオパールを直射日光下に放置しない、ケースにしっかりと保管することが重要です。

この点を気をつければ長く付き合っていける美しい宝石になりますので、ぜひジュエリー選びの候補に入れてみてください。

 真珠

普段使いのジュエリーとしてだけでなく冠婚葬祭でも活躍する真珠のジュエリーは

あまりジュエリーに馴染みのない方もひとつは持っている場合が多い宝石です。

硬度は2.5と低くひっかき傷がつきやすいだけでなく酸に弱い性質上、

汗や乳液、ファンデーション等の化学成分に気をつける必要があります。

とはいえすぐに劣化するわけではないのでそこまで神経質になる必要はありませんが、

着用後には日々のお手入れとして清潔で柔らかな布で拭く、他のジュエリーと当たらないよう個別に保管するといったことが重要です。

お肌のお手入れと同様、習慣づけるだけで5年後、10年後、20年後と美しさが明確に変わってきますので、

末永く付き合っていけるよう取り扱っていただけましたら幸いです。

 エメラルド

宝石の歴史の中で取り扱いに最も言及されてきたといっても過言ではないのがエメラルドです。

硬度は7.5から8ほどと宝石の中である程度の硬さがあるのですが、結晶が育つ環境が過酷なこともあり

外部、内部ともにキズが多い宝石です。

そのため透明度向上を目的とした含侵が一般的な処理として認められている代表的な宝石となっています。

エメラルドはふとした瞬間の衝撃によって内部のキズが広がり、亀裂が入ることがありますので、

特に物に当たらないように取り扱っていただきたいと思います。

当店の感覚としてはGIAの鑑別書にてMinor Enhancement(含侵によって軽度の透明度の改善)の物を選ぶのがより間違いのない選択と考えております。

 終わりに

物に当てない、洗剤等で洗わない、清潔で柔らかな布で拭く、個別にケースに保管する。

様々な注意点が個々にありますが、要点だけ気をつければ本当に末永く身に着けることができる、

そして次の世代へ受け継いでいける宝石たちです。

ぜひ日常にジュエリーを取り入れて、華やかな装いをお楽しみください。

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